補遺 その五
電子機器
簡単な婦人用デジタル体温計が日本に登場したとき、村山茂博士の調査によれば、受胎可能・不可能期間を知るための体温法を試してみるために、六五%の女性がそれを試みたといわれます。しかし、その体温計には十分な正確さがなく、補足の説明にしても不正確でした。結局、ほとんどの女性はその使用をあきらめてしまったようです。
発明家の西村金治氏はそこに注目して、正確な体温計と高精度の測定法の問題を解決する研究を始めました。彼は、体温計にマイクロ・プロセッサーと、データを記憶し、そのデータから、次の周期中の受胎可能日を計算するミニ・コンピューターを連結させました。不正確さと人間のミスが計算を狂わせないように、周期と体温のデータは正確に、そして自動的に記憶されねばならないと彼は主張しました。六年の研究期間後、彼は「Lソフィア」と呼ばれる商品を世に出しました。それは、女性のハンドバッグに入る程のサイズですが、頭が良く、液晶画面上に周期中の受胎可能日を自動的に示します。夫婦はその徴侯を見て、しかるべく選択できるようになりました。まるで、ファミリーゲームというところでしょうか。最初の一年間、販売数は数百から一万に達し、本書の執筆時に、国内販売総数は七万五千以上、国外でも相当数に達しています。使用者の評判も上々どころか、熱狂的です。いまでこそ、ピルとかコンドームの会社だけが独占的に利益を誇っていますが、Lソフィアのような商品は、今後自然にかなった家族計画のお陰で繁盛してもいいはずです。出版の時点で、基本的機能はそのままで、さらに小型化された廉価版の新型製品が入手可能になっています。
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