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わたしがNFPを選択したわけ

トゥリスタン・モスマイヤー

わたしたちは一九九七年八月に結婚しました。その前にNFP(自然に基づく家族計画)について話し合い、それを使用する合意ができていました。決めるのは簡単なでしたが、計画通りにならないということが後で分かりました。

NFP選択の主な理由はそれが教会が許す唯一の産児調節だからでした。わたしはカトリック信者ですから、教会に従いたいのです。人工避妊を禁止する教会の教えについて説明させるとこの人の右に出るものはいない、と言われるジャネット・スミス博士に従えば、それは以下のことに煮詰められます。つまり、避妊は夫婦を結びつけ、また産児につながる性交の意味に反するということです。

わたしにとっては道徳などとあまり関係のないもう一つの理由がありました。わたしはピルが怖かったのです。ピルを使用してもどうもないように見えた友人たちでさえ何らかの意味で影響を受けていたと思います。彼女らの体は普通であれば妊娠時にだけ分泌されるホルモンに制御さていたのです。

基本的に言って、ピルは女性の体をだまして、自分たちがもう妊娠していると思いこませます。わたしはこれまで一人の男の子供に恵まれています。それはそれは良い子なんですよ。しかし、妊娠自体は決して楽しくありませんでした。ですから、次の妊娠のためにももう心の準備ができているかどうかはよく分かりません。

ピルを服用すれば、確かにトイレに一日中入り浸りになるほど胎児が膀胱を圧迫することはないでしょう。しかし、ピルは肥満の原因になることが多いのです。体が二人分の食糧をどうしようもなく要求することに気づくあなたはびっくりするはずです。わたしは太りたくなどありませんし、その必要もありません。妊娠時の疲労困憊だけでもわたしには十分過ぎるのです。そう言えば、妊娠しているときには二人分の睡眠も必要だったようですわ。しかし、妊娠時に一番きつかったのは肉体的苦痛とか不具合でなく、心理的なローラーコースターでした。わたしの場合、あのころはいつもいらいらしていました。うそだと思うなら主人に聞いてご覧なさい。いくら主人が優しくしてくれても、妻はそれを受け付けることができません。これは夫に落ち度があるからではありません。自然界にあって女性だけに起こることを男性が理解できないのはもっともです。

ピル服用中の何人かの友人はこのような症状に苦しんでいます。またほかの友人たちは不快感とか苦痛のためにピル服用を中止しました。ピル服用はひどい偏頭痛の原因になることが多いのです。もちろん、ほかの薬品同様アレルギー症状もあり得ます。

 医師たちは、患者が経口避妊薬を服用してアレルギー体質でないことを確かめた後でないと、ノープラントとかテポプロヴェラのような注射による避妊剤を勧めません。もし、それがピルであれば服用を止めることができても、注射をしてしまった後であれば、そんなことはできません。ピルを服用すると、その影響は数日続きます。注射の場合ですと効果は何ヶ月も続くことがあります。

 ピルとか注射の融通のなさもわたしが挙げたい理由の一つです。医師たちは女性が妊娠を計画する何ヶ月も前からピル服用を止めることを勧めます。それが注射による避妊剤であれば妊娠する前に少なくともまる一年は待たなければならないのです。そうしなければ、奇形児が生まれる可能性があるからです。こわいと思いませんか?

家族を計画しようとするとき、これらの方法は融通が利かなさすぎます。この融通の無さがこんなものを好きになれないもう一つの理由です。わたしは家族を計画したいのです。また妊娠できる機会を失いたくありません。NFPはその点で理想的です。妊娠を二人が望むときであれば、いつでも試してみることができます。別に待つ必要などありません。

 でも、避妊ピルとか経口避妊薬を使用できないと分かったら、ほかに人工避妊法がないわけではありません。避妊リングはいやでした。プラスチックとか金属片を自分の子宮の中に挿入するなんて、考えるだけでもぞっとします。

では、コンドームとか殺精子剤とかスボンジは? 殺精子剤なんて聞くだけでもいらいらしていまいます。それは汚らしく、避妊法としても効果が低いのです。殺精子剤の単独使用はもっとも効果のない避妊法です。コンドームとかダイヤフラムのような障壁法にも問題があります。ダイヤフラムなら子宮内に挿入するわけではなく、単なるプラスチックのキャップですが、一寸待って、なぜわたしが彼の精子に対して防御しなければならないのでしょうか? コンドームはどうでしょう? それはどちらかにラテックスに対するアレルギーがあれば使用できません。

障壁法について一つの皮肉は、その方法が性交にそぐわないということです。ジャネット・スミスは「なぜ避妊がいけないか」という小冊子とテープで次のように説明しています(両方とも日本語訳があります。電話かファックスを088-873-1639にして下さい)。もし夫婦が愛し合う前に、「まず障壁を付けなければいけないな」とか、「障壁を付けてよ」なんて言えますか? 愛はしぼんでしまわないでしょうか。

どうですか? NFPは煩雑さを避けるためにも妊娠を回避するには最良の方法に思えませんか? わたしがNFPを選択したのは費用と効果も計算した上でした。NFPは無料(フリー)ですし、本当に自由(フリー)です。その方法を修得するのに少し時間と労力は必要ですけれど、その甲斐はあります。指導者は少額の寄付を一度だけ願いました。普通期待されるのは一月分の避妊ピルにかかる程度です。

NFPは経済的ですが、それはわたしにとって主な理由ではありませんでした。わたしがNFPを選択したのは、それが他のどの方法にも負けず劣らず効果的だったからです。NFPの秘密は夫婦が責任を分かち合うことにあります。夫婦はベッドの中だけでなく、常に努力して、意志疎通と責任感を養わなければなりません。また二人ともこの方法に精通していなければなりません。禁欲期間がありますから、自己制御がこの方法のもっとも困難な部分です。しかし、それは夫婦関係にとって最良のものであることが分かりました。

NFPに伴う禁欲は人工避妊にないすばらしい部分です。それに人工避妊は失敗することが多いのです。正しく使用すればNFPの効果は九八%もあると言われます。家族計画連盟はそれが二〇%しかないなどと言いたがりますが、それはとんでもないことです。おそらくNFPが要求する禁欲を守れなかった人たちの統計なのでしょう。多くの人々が人工避妊を選択するのは夫婦の意志疎通がおっくうだからではないでしょうか?  

不倫が大流行です。NFPは結婚していない人々にはほぼ使用不可能です。NFPを使用するには結婚した人々の間にだけあり得る意志の疎通、友情、仲間意識が必要です。

以上がNFPをわたしが選択した最大の理由です。NFPを選択したということは自分のセックスと自分の体をコントロールすることです。わたしはこのような責任を避妊ピルの小箱とか、プラスチックとかジェリーに譲るつもりは毛頭ありません。わたしは自分自身と夫に信頼しています。それは、もしわたしが妊娠することがあれば、夫とわたしが産まれてくる子供に対しても責任をとることを意味します。わたしたちが避妊ピルとかコンドームのメーカーとかを非難することは決してないでしょう。

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