ものみの塔協会は, 「新世界訳聖書翻訳委員会」の匿名者達の働きとして, 『新世界訳』を差し出す。そして委員会の構成員を識別するあらゆる努力に, 抵抗する。 その働きの信頼性は神に帰すからそうしている, と言う。そうした匿名性は, その翻訳にある間違 いや歪曲を翻訳者から保護することにもなると, 公平な第三者はすぐに気がつくだろう。それは, 学者がその信頼性を調査する意図をくじく。事実, 最近ものみの塔本部を脱退した離脱者が, 委員会のだれもが, ヘブル語, ギリシャ語, 或いはアラム語の専門家ではなかったことを明らかにし, 委員会のメンバーを識別した。(聖書は, 元々の原語から翻訳されなければならない。) エホバの証人が‘神の様な存在’と訳すには, 長年にわたり, ヨハネス・グレベールによる新約聖書(1937年版権)の後ろ盾に頼ってきた。グレベールは, 「‥‥ことばは神のような存在」と翻訳したからだ。ものみの塔協会の出版物は, その翻訳などを支えるためにグレベールを次のように引用してきた。
『聖書理解の助け』(1971年出版)1134頁, 1669頁。
『全ての事柄を確かめなさい。りっぱな事柄をしっかり守りなさい』(1965年出版。英文489頁), 『ものみの塔』 1962年10月15日号618頁。
「Watchtower」1975年10月15日号英文640頁。
「Watchtower」1976年4月15日号英文231頁。
"The word" -Who Is He ? According to John (ヨハネによれば‘ことば’はだれ, 1962年出版, 5頁)(訳者注:邦訳版なし)。
はこの微妙な訳し換えは分かりませんが、英語ではこれが実にはっきりしています。ここでは英語でどのように訳されているかを見てみましょう。先ずエホバの証人の「新世界訳」です。
"In [the] beginning the Word was, and the Word was with God, and the Word was a god."
このように二回出てくる「神」は最初と二回目とでは違う形で訳されています。最初の「神」は God であり唯一の神を示しますが、二回目の「神」は不定冠詞 "a" をともなった小文字で始まる god で、これを意訳すれば「不特定多数の神々の一つ」という意味になります。つまりエホバの証人の訳では「イエス・キリスト=不特定多数の神々の一つ」となり、まさしくエホバの証人の教理にあった翻訳ができあがります。(ものみの塔協会はこの点を日本語訳に反映するために、最初のGodを下線つきで「神」と訳し、全能の唯一神をあらわすようにしており、二回目の「神」には下線を付けず、それによって区別しています。)