鹿児島司教への

御聖体に対する不敬を怖れる信徒の会の質問状

2000年2月27日
カトリック鹿児島教区長
糸永 真一 司教様

御聖体に対する不敬を怖れる信徒の会
代表  門 田  明

† 主の平和

司教様には、お元気にて聖務にご活躍のご様子何よりと存じます。

さて、鹿児島カテドラルにおきまして、「涜聖の危険の最も少ない箇所」(ミサ以外の聖体拝領と聖体礼拝一般緒言9)に安置されるべき御聖櫃が、最も危険の多い玄関先の小聖堂に置かれ、事実危険にさらされているとの危惧を感じ、同じ考えの者が集まり、添付別紙の嘆願書を作成し、相当数取りまとめた上、近く司教様に主聖堂に安置していただくようお願いに参上するつもりでおりました。ところが今月の教区報に司教様の御聖櫃の位置に関するお考えが掲載され、一部は私どもの疑問に対するお返事ともなっておりました。いろいろ御教示頂き、厚く御礼申し上げます。

一方、この嘆願書に対し、電話、文書、Eメールなどで、多数の意見や批判が寄せられ、検討の結果、質問の形で取りまとめ、更に重ねて、主聖堂安置の必要をお尋ねすべきでないか、との見解にまとまりました。つきましては、下記のとおり疑問をお届けいたしますので、ご判断の上、教区報などにて、お考えをお聞かせ賜れば幸いです。

1 「新教会法典」第938条によると「至聖なる聖体が安置される聖櫃は、教会堂又は礼拝堂内の重要な場所に位置し、そこは見通しがきき、美しく飾られ、祈りにふさわしい場所でなければならない。」とある。これに対して、現在のカテドラル小聖堂は、
(1)一見したところ、受付、倉庫、便所と見間違える人があり、とてもカテドラル全体の重要な場所とは考えられない。
(2)カテドラルの「重要な場所」とは、聖別された主聖堂であろう。それゆえにこそヲサ主」聖堂と呼ぶのである。聖櫃は主聖堂に安置
すべきである。現在のカテドラルの聖櫃の位置は、教会法上違法であり、たとえ涜聖がなくとも聖体の軽視であり、不敬である。
(3)「見通し」とは、国語辞典によると、「さえぎるものがなく、遠くまで見えること」と定義されている。カテドラルの小聖堂はとてもその条件に合致するとは言えない。この条件に最も合致する場所は、やはり主聖堂である。聖櫃は主聖堂に安置すべきである。

2 「ローマ・ミサ典礼書総則276」に「聖体を保存する場所は、信者の個人的礼拝と祈りにふさわしい小聖堂の中に設置されることが切に勧められる」とあるが、「新教会法典」第938条との整合性につき、尻枝正行神父の解説は、バチカンの典礼専門家たちの意見を尋ねた結論として「教会堂内に多くのチャペルを擁するようなヨーロッパの広大な教会を想定したもの」と断言している。せいぜい数百人規模の鹿児島カテドラルにあてはめるのは、特例の拡大解釈である。また、法典の命令を無視し、単なる勧告を重視するのは、法規解釈の常識に反する。カテドラルの聖櫃は、主聖堂に安置すべきである。

3 枢機卿3名をふくむアメリカの大司教・司教33名が、「聖櫃は、分離された小聖堂に移すべきではなく、大聖堂正面中央に安置すべきである」との立場を明らかにしたとのアメリカからの報道がある。ボストンのロー枢機卿は「小聖堂の中に設置」とする勧告について、近く新しいミサ典書が出版され「異なった見解が述べられる可能性がある」と示唆している。ニューアークのマッカリック大司教は「ニューアークでは、多数の会衆から見えないような場所に聖櫃を置くことは絶対しない」と言っておられる。つまり鹿児島教区と正反対の立場が述べられている。

ローマ・カトリック教会の教えが、重要な問題について、日本とアメリカで異なるとは考えられない。高位聖職者間のこのような意見の相違を見て、信徒として当惑を禁じえない。 もし、可能であれば糸永司教様のお力で聖座の見解をお問い合わせ頂きたい。

以上

信徒代表各位

2000年2月27日
御聖体に対する不敬を怖れる信徒の会
代表  門 田  明

†主の平和

代表各位には、ご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて先に、ご聖体に対する不敬を怖れる司教様宛「嘆願書」を作成し、ご協力を頂き、会員一同厚く感謝申し上げる次第です。

お陰様を持ちまして、ザビエル教会におかれましては、種々協議の上、ご聖体の安全に更に心を配るよう、具体的な方策を講じられる模様であり、また、司教様におかれましても、教区報上にてお考えを開陳され、われわれも活動の甲斐があったと喜んでいる次第です。

ただ、カテドラルと聖櫃の問題に関しましては、従来よりいろいろな意見があり、今回も多数の疑問・意見など、教区内外から「信徒の会」宛寄せられました。

つきましては、これを司教様にもお届けし、また皆様とも分かち合い、信仰についての勉強の資ともいたしたく考える次第です。

嘆願書につきましては、別紙司教様宛書状のとおり、内容を補充し質問の形式で従来の要望を続行していく所存です。ご了解のほどお願いいたします。
また、書状にもございますように、当会の意見などは、インターネットにて全国に発信しておりますので、関心をお持ちの方は、「信徒の会」代表門田(< paula@po.synapse.ne.jp> ) 宛E-mailにてお尋ね下さい。ご案内いたします。

末筆ながら、皆々様の上に神様の大いなる祝福がございますよう、お祈りいたします。

敬具