回勅『フマネ・ヴィテ』は愛への挑戦 — ジャネット・E・スミス
自然に基づく家族計画(NFP)
NFPを実行している夫婦はほとんど離婚することがありません。彼らには避妊する夫婦より強いきずながあるようです。
夫婦は物理的に可能な限りたくさん子供を設けなければなりませんか? これは決して教会の教えであったことがありません。夫婦には子供の養育について責任を持ち、よく育てることができるだけの子供を産むことが期待されています。しかし家族のサイズを制限する方法は道徳的なものでなければなりません。家族のサイズを決定するために、NFPは非常に効果があり、道徳的な方法です。この方法によって夫婦は希望するときに妊娠することができ、また妊娠することが無責任であると感じるときにそれを避けることができます。NFPを実行する夫は妻の体をいたわり、妻を完全に尊敬し、妻と共に神に従うことができます。
NFPは、今はもう廃ってしまったカレンダーに基づくリズム法ではありません。それどころか、NFPは種々の徴候に基づいて女性が受胎可能である期間を知る非常に科学的な方法です。妊娠を避けたい夫婦は受胎可能期に禁欲します。NFPの信頼性に関する統計は最も効果があるとされる避妊ピルよりも高いことが分かっています。それだけでく、それには健康を害する危険が皆無であり、しかも経済的で道徳的です。
NFPを実行する夫婦は、それが自分たちの夫婦関係に、また神との関係にも良い結果をもたらすと証言します。夫婦が受胎可能期に禁欲しても、彼らは性交を控えているわけですから、性交の行為を無に帰しているわけではありません。不妊期に性交があっても、その時期は受胎が可能でないのですから、彼らは自分たちの受胎能力を抑圧していることにはなりません。彼らは自分たちに内在する自然のリズムに従って生きることを学びます。一口に言えば、NFPの実行は非生殖的行為ではあり得るでしょうけれど、それは決して反生殖的行為はありません。
多くの人々は、定期的禁欲が結婚にとって害になるどころか、非常に有益であるのが不思議であると感じます。しかし、ちょうど結婚していない人たちとか、性交によって一定の危険がもたらされるような人たち同士にとってそうであるように、禁欲はもう一つの愛の表現であり得ます。確かに、NFPを実行し始める人たちはほとんど、特に結婚前に純潔でなかった人たちとか、以前避妊の習慣があった人たちは、一般的に言って、要求される禁欲を重荷に感じたり、いらいらしたりすることはあります。もちろん、禁欲は食事制限とかほかの克己の業と同じく困難ではありますが、食事制限とかほかの克己の業と同じく、それには利点もあります。そして考えてみると、夫婦は、例えば片方が旅行で家にいないとか病気であるとか、いろいろな理由のために禁欲を強いられるのは日常茶飯事ではありませんか?
NFPを使用する夫婦は相互の意志疎通が格段に良くなります。禁欲がそうさせるのです。また、自分たちの愛情を性交以外の手段で伝えることを学ぶ彼らは、性交を控える能力のおかげで新たな解放感を持ちます。多くの夫婦は禁欲期間にロマンスの要素が再登場したと感じます。更に、禁欲期間が終わったときに彼らは再度ハネムーンの興奮を味わいます。一般的に、NFPを実施する女性たちは不健康で不快な避妊剤の使用を夫から要求されないので、夫から尊敬されていると感じます。夫たちも自分の性欲をコントロールする能力を得て、単なる性欲のはけ口としてでなく、愛の行為としての性交ができるようになるので、以前に増して自尊心が高まります。NFPがどれほど結婚にとって有益であるかは、米国で五〇%以上の結婚が離婚に終わるのに比べて(離婚する夫婦は大方避妊の経験があると推定できます)、NFPを実行している夫婦はほとんど離婚することがないことからも分かります。彼らには避妊する夫婦より強いきずながあるようです。
『フマネ・ヴィテ』研究会 成相明人訳