回勅『フマネ・ヴィテ』は愛への挑戦 — ジャネット・E・スミス
避妊が社会にもたらす影響
回勅『フマネ・ヴィテ』は、避妊法の普及が必ず道徳低下をもたらすと予言していました。さて、特に性の分野で現代の道徳低下は明らかであると思います。
過去二、三十年の経験から判断すると、避妊が社会にもろもろのひどい悪をもたらしていることがよく見えるようになった今、教会がこの教えを常に教え続けてきたのは非常に賢明であったことは明白であったと思います。例えば、それは望まれない妊娠と妊娠中絶の原因となった性の革命に道を開きます。それはまた男性が女性を性的に利用しやすくしています。実に、回勅『フマネ・ヴィテ』は、避妊法の普及が必ず道徳低下をもたらすと予言していました。さて、特に性的分野で現代の道徳低下は明らかです。性の革命がもたらした諸悪を、ことさらにいろいろ統計を持ち出してきて証明する必要はないでしょう。十代少女の妊娠、性病、離婚、エイズ、その他が疫病のように急増していることはだれでも知っています。
西欧社会の性行動は急速に変化しましたが、それが良い方向に変化したと思っている人はいないはずです。例えば、わずか十年前まで、三組に一組の夫婦が離婚していたのに、今では二組に一組の夫婦が離婚してしまいます(最新の統計では十組に六組 — 訳者)。わずか十年前、十代少女十人のうち四人が性的に活発であったのに、今はもうそれが六人になったと言われます。白人の赤ちゃんの二二%、黒人の赤ちゃんの六七%は婚外子です。過去十年だけで何百万人の赤ちゃんが中絶されました。エイズも蔓延しています。これだけでも、性に関して大変な問題をわたしたちが抱え込んでいることがよく分かります。十年前の統計はすでにひど過ぎるので、多くの人は事態がこれ以上悪化することはないと思ったものです。二十年前も、三十年前も多くの人たちは同じように思っていました。この一世代の間に婚外性活動の頻度と付随の諸問題は二倍、三倍、いやそれ以上に増加しました。性に関連する問題の増加がその頂点に到達したと考える理由は特にありません。
『フマネ・ヴィテ』研究会 成相明人訳